賃貸借契約のチェックポイント

ポイント2:契約期間の更新と終了

契約期間は普通借家契約の場合オフィスは2年、店舗は3年が一般的です。また定期借家契約の場合1年から5年が一般的です。ではその契約期間について、またその契約の更新、解除(解約)、終了について法律はどう規定しているのでしょう。それについて述べます。


1 普通借家契約について


1. 契約期間


民法第604条①は「賃貸借の存続期間は20年を超ゆることを得ず。若し之より長き期間を以て賃貸借を為したるときは其の期間は之を20年に短縮す」と規定しています。けれどこれを借地借家法第29条②は「民法第604条①の規定は、建物の賃貸借については適用しない」と否定しています。

よって建物の賃貸借契約期間は当事者間で2年でも、20年でも、30年でも自由に決められます。
ただし、1年未満の期間を定めた普通借家契約の場合、借地借家法は「期間の定めのない借家権」とします。もちろん、契約期間を定めなかった場合も同様です。


2. 契約の満了と終了


普通借家契約で契約期間に定めがある場合、貸主がその契約期間の満了で契約を終了させたいときには、更新拒絶、すなわち「更新しない」旨の通知をしなければなりません。この場合、貸主は契約書に解約予告の規定が有る無しに係わらず借地借家法第26条①の適 用を受け、借主に対し期間満了の1年前から6ヶ月前に解約の通知をしなければなりません。と同時に「正当の事由」が求められます。ちなみに貸主が契約期間内で解約する場合も同様です。
これに対し借主側の解約予告については貸主、借主の間で自由に決められます。ただし、契約書に借主側の解約予告の規定がない場合には民法617条①の適用を受け、解約の効果は申し入れから3ヶ月となります。借主が契約期間内の途中で解約する場合も同様です。
解約予告を契約書で規定する場合には、当然のこと、借主にはできるだけ短いことが、また貸主側にとっては長いことが期限の利益になります。 *なお、「正当事由」の内容については割愛させていただきます。別途、お問い合わせ下さい。


3. 契約の更新


普通借家契約で契約期間を更新する場合には「法定更新」と「合意更新」と「自動更新」があります。
まず、前述したように、貸主は契約期間が満了になっても「正当事由」がない限り、契約を終了させることはできません。
従って、借主は貸主から契約期間の満期前に更新拒絶の通知があったとしても、貸主側に「正当事由」がない限り、契約を継続することができます。これを「法定更新」といいます。
これに対し、貸主、借主のどちらかが契約期間を更新するにあたって条件の変更を申し出、それが合意して更新する場合があります。これを「合意更新」といいます。 また貸主、借主ともに契約満了を迎えても何らの意思表示をせずにそのまま継続するのを「自動更新」と呼んでいます。なお自動更新は商慣行語で法律用語ではありません。法的にはこれも法定更新です。
逆に6ヶ月以上前に更新拒絶の意思表示を行っても、また条件変更を申し出ても合意に達しないままに賃借人が使用を継続し、そのまま使用賃料を貸主が受領していると契約が更新されます。これも「法定更新」です。
なお、ニチビルでは更新に係わる貸主・借主間の係争を円満に取り纏めておりますのでお気軽にご相談ください。





2 定期借家契約について


1. 契約の締結


定期借家契約の締結には、書面による契約(契約書)が必要です。また、契約書以外にも「この契約には更新が無く期間満了で終了すること」を別途書面で作成し、貸主は借主に契約前に説明の上、書面を交付することが義務付けられています。


2. 契約期間と終了


貸主が一定の賃貸借期間(1年未満の契約も可能)を定め、普通借家契約とは異なり契約期間満了によって契約が終了し、退去(解約)することになります。
(貸主より契約期間満了日の6ヶ月~1年の期間において借主に対して満了の通知を行うものとする。)


3. 契約の更新


定期借家契約には、更新はありません。そのまま入居し続ける場合、貸主・借主双方合意の元で、再契約をすることが可能となります。(再契約をする場合、再契約料や事務手数料等を支払うことが再契約条件とする場合もあるので、注意が必要です。)


4. 中途解約


借主は、契約期間中は必ず満了日まで借り続けなければならないことが前提になっているため、契約期間内の中途解約は原則出来ません。
但し、契約条件に中途解約に関する特約があればその取り決めに従うことになります。
(中途解約の特約がない契約の場合、最悪、残りの期間分の賃料を請求されることがあるので、中途解約の特約をつけることを交渉することが重要です。)


定期借家契約と普通借家契約の比較


定期借家契約 普通借家契約
1 賃貸借用途 ・居住用、事業用いずれも可能 ・居住用、事業用いずれも可能
2 契約の成立要件 ・契約前に更新がなく、期間満了により終了する旨を書面にて説明すること
・公正証書等の書面による契約に限る
・書面でも口頭でも可能
3 更新の有無 ・期間満了により終了し、更新されない
但し、当事者の合意により、再契約は可能
・正当事由がない限り更新される
4 借主からの中途解約 ・中途解約に関する特約があれば可能 ・中途解約に関する特約があれば可能
5 契約期間 ・制限なし ・1年以上
(1年未満の契約期間を定めた場合は、期間の定めのない賃貸借契約とみなされる。)





ポイント1:契約面積についてポイント2:契約期間の更新と終了ポイント3:更新料についてポイント4:共益費と管理費の違いポイント5:敷金と保証金の違いポイント6:解約時償却と敷引きについてポイント7:物件の明け渡しと原状回復について

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