2019.04.16

ビルの空室率ってなに?

不動産投資に関して、大切な指標の1つに「空室率」というものがあります。

「空室率」とは?

空室率とは、建物全体の部屋数に対して、人が入居していない部屋(空室)が占める割合を指します。
なお、「入居率」はその反対を指す言葉で、全部屋数のうち、人が入居している部屋数の割合のことです。

空室率の計算方法

一般的に空室率は、以下の3つの観点によって計算式が異なります。
その時点での空室率を求める「時点空室率」、空室日数と稼働日数から割り出す「稼働空室率」、賃料基準で求める「賃料空室率」です。

(1)「時点」をベース「時点空室率」

空室率=空室数÷全室数(賃貸することが可能な物件戸数)×100

その時点での全戸数に対する空室数の割合を指します。
よく管理会社が管理物件の空室率を出す際に利用する空室率で、最もよく使われる計算式です。
シンプルに空室率を出したい際に使用する計算方法です。

空室戸数(空室数)とは、計算したその時点で入居者がいない部屋数のことです。
それを実際に賃貸可能な物件戸数(その時点で空室のものとして賃貸可能な物件数の合計)で割って100をかけることにより空室率が出ます。

戸数ベースでの計算式に関して、部屋数は比較的簡単に把握することができる点に加え、計算のしやすさが最大のメリットです。
その反面、部屋のサイズなどの反映はされないので、部屋の間取り、スペースの大きさがまちまちの物件では空室率に大きなブレが生じる可能性があります。

戸数ベースの空室率計算は、賃貸アパート、マンションなどでよく使われます。
店舗、事務所などではあまり使用されません。

なお、上記のように戸数ベースではなく、床面積を基準として空室率を算出することも可能です。
床面積の空室率は、空いている部屋の床面積総数と、全体の床面積総数によって算出します。
空室率の実態を把握するためには床面積ベースでの算出方法が望ましい場合もあります。
なぜなら戸数ベースだと部屋のサイズが違うものも同類としてカウントされてしまうため、正確な空室率が算出されにくくなるからです。
戸数のサイズが異なる店舗や事務所などで床面積ベースでの算出がよく使用されます。

(2)「稼働」をベース「稼働空室率」

空室率={[年間の空室数÷空室期間(日数)の平均]÷[全戸数×365日(1年)]}×100

1年間の稼働日数のうち、空室日数が全体の何%か、という視点から空室率を計算する方法です。
空室戸数は、年間で一度でも賃貸契約が解除になったことのある物件戸数を使います。

(3)「想定賃料」をベース「賃料空室率」

空室率=[(満室時の年間家賃収入-実際の年間家賃収入)÷満室時の年間家賃収入]×100

日数ではなく、賃料を基準として空室率を計算します。
物件稼働率(物件を稼働させられているか)だけでなく、賃料の回収率(賃料をきちんと回収できているか)まで算出したい時に使用する計算式です。

同じ部屋やサイズの物件でも、高い賃料の部屋が空室になると収益に大きく差が出るため、投資家や大家からの視点で最も重視される空室率の算出方法です。
実際、同じ間取り、サイズで隣り合った物件(部屋)でも賃料が異なることが生じるため、そのような時の参考にもなる指標です。

オフィスにおける空室率

オフィスの空室率は、オフィスが必要なテナント数(需要)と、実際のオフィス物件数(供給)のバランスの中で周期的に上下しています。
空室率が高い時期は、オフィス物件の需要は低い状態なので借り手であるテナント企業が優位なため、賃料は比較的下がりやすい傾向になります。
反面、空室率が低い時期は、需要が高く、オフィス物件も少ない状況なので、
貸し手であるオーナーが優位な状況といえ、賃料は上がりやすい傾向にあるでしょう。

まとめ

空室率の指標は、不動産投資や、これからマンションやアパートを借りたい人、会社設立においてオフィスを借りようとしている法人、移転を検討している法人など、様々な場面で利用できる便利な指標です。
エリアごとの空室率を比較することで、おおよその需要と供給のバランスを予測することができます。
空室率から全てが分かるわけではありませんが、頼りにできる指標は多いに越したことはありませんのでうまく活用することをお勧めします。