青色申告特別控除とは?
青色申告特別控除とは、青色申告者にのみ適用される所得控除です。 青色申告で受けられる最大のメリットと言ってもいいでしょう。 ただし、青色申告には個人と会社(法人)がありますが、法人には青色申告をしても、この青色申告特別控除の特典はありません。 個人のみに適用される控除となります。 所得金額から最高65万円、もしくは10万円を控除できます。
65万円の青色申告特別控除
65万円の青色申告特別控除を受けるには、いくつか要件があります。
(1)不動産所得、または事業所得を得る事業を営んでいること
- 不動産所得
アパートやマンションなどの家賃収入による所得です。 そのうち、「一定以上の事業的規模」が必要で、具体的に、貸家なら5棟以上、貸室なら10室以上、駐車場なら50台以上が目安となります。
- 事業所得
単発ではなく、継続して行っている事業の場合に事業所得として認められます。 住まいの管轄をする税務署に「個人事業の開業届出」を提出することが必要となってきます。 個人事業者の所得のほとんどはこちらに該当します。 雇用契約で受給される「給与所得」、副業で得た「雑所得」などはこの控除に使えません。
(2)複式簿記で記帳すること
簿記には「単式」と「複式」がありますが、65万円の青色申告特別控除をうけたい場合は複式簿記での会計記録が要件となっています。
(3)貸借対照表と損益計算書の添付をすること
65万円の青色申告特別控除を受けるには、上記の記帳をもとにして作成した「貸借対照表」と「損益計算書」の添付が必要になります。
- 貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)
事業で保有している財産や借金を一覧表示した報告書を言います。 資産(事業の財産)、負債(事業の借金)、資本(開業資金とこれまでの利益の総計)で構成されており、財政状態を明らかにしています。
- 損益計算書(そんえきけいさんしょ)
一年間の事業における利益がどれくらいあったか経営成績を示す決算書です。 おおまかには、売上、仕入、経費、利益で構成されています。 収益と費用とを対比して、その差額として利益を示します。
(4)確定申告の必要書類を法定申告期限内に提出すること
65万円の青色申告特別控除を受けるには、期限内に住まいを管轄する税務署に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。
複式簿記で記帳した帳簿にもとづき、確定申告の書類を作成、確定申告書類の所定欄に65万円の候補額を記入します。
青色申告決算書と確定申告書Bを法定申告期限(原則3月15日)までに提出します。 年度途中に新規開業した人は、開業してから2ケ月以内に提出します。 期限後申告では、65万円控除は受けることができません。
期限後申告になると、後述する10万円控除は受けることが可能です。
10万円の青色申告特別控除
青色申告者で65万円の青色申告特別控除ができる要件を満たせなかった場合、10万円の青色申告特別控除が適用になります。
複式簿記によらない簡易な記帳方法であっても青色申告が認められ、最大10万円ではあるものの、青色申告特別控除が受けられるということになります。
ただし10万円の青色申告特別控除にあたり、少なくとも青色申告をする承認を税務署へ申告する必要があります。 申請期限は以下になります。
(1)白色申告から青色申告にしたい場合
青色申告にしたい年の3月15日まで
(2)開業した年から青色申告にしたい場合
開業の日から2ヶ月以内(開業の日が1月15日以降のときは3月15日まで)
10万円の青色申告特別控除の一例:30万円未満の減価償却資産の特例
白色申告の場合、10万円を超えると減価償却の対象となり購入年に全額を経費にすることはできません。 しかし、青色申告の場合は簡易帳簿でも、その資産の内容や取得日などがわかるようにし、特例を利用する正規の手続きができれば全額前倒しで経費化することが可能です。
青色申告の流れ
青色確定申告の事業年度は1月1日~12月31日となります。
- 1月1日に今年度の事業をスタートとすると、青色申告の届出を3月15日までに税務署に提出します。また、年度途中に新規開業した人は、開業してから2ケ月以内に提出します。
- 翌年1月に、帳簿を基に「決算書」を作成します。
- 2月に決算書を基に「確定申告書」を作成します。
- 2月15日~3月15日までの間に、税務署にて確定申告書を提出します。
- 3月15日までに納税を行う必要があります。
申告書の提出後に、税務署から納付書の送付や納税通知書等によるお知らせはありませんので注意が必要です。
まとめ
青色申告特別控除は、青色申告者にのみ適用される所得控除です。
生命保険料控除や医療費控除など、他の控除よりも税金額を大きく減額できる可能性があります。
節税対策として、有効に利用していきましょう。
帳簿づけは一見複雑でかなり面倒なものに見えますが、昨今は専用の申告ソフトを利用すれば修正や集計作業などの効率が上がり、申請も楽になるでしょう。
メリットの多い青色申告特別控除を積極的に活用していきましょう。