2019.05.16

グループワーク方式での研修のメリット・デメリット

最近の企業研修で良く取り入れられているものにグループワーク方式での研修があります。
少人数のグループで、一つの課題に取り組んで発表するタイプの研修です。
このグループワーク方式の研修のメリット・デメリットをよく知った上で、キャリア管理に組み込んでいく必要があります。

グループワーク方式の研修とは

日本は、21世紀に入って、少子高齢化の影響から、労働人口が減少局面に入り、優秀な人員を確保することが難しくなっています。しかも、人口減少によって、経済成長そのものが難しくなっており、中小企業にとっては人材確保や育成、さらには会社の生き残りも厳しい環境になりつつあります。

働き方改革が叫ばれる中、生き残っていくためには、確保した人材をいかに育成していくかにかかっています。厳しい流動性の高いビジネス環境に適応していくためには、自ら考えて行動できる社員を育成していくことが必要です。

この自ら考えて行動できる社員を育成していくことを狙った研修が、グループワーク方式研修になります。

講義中心の研修から、考えさせる研修へ

グループワーク方式の研修は、これまでのように、講義で知識を与えていくタイプの研修ではありません。研修に参加する人たちがグループを組み、それぞれのグループで課題を与えられ、その課題の解決に向けて自分たちで答えを見つけていこうという研修です。

研修の課題そのものに答えはなく、グループワークの中で、参加した研修生が自分たちでミーティングをおこない、自ら勉強しながら、答えを見つける姿勢を学ぶことに研修の目的があります。

ルーチンワークだけの仕事では生き残っていけない

今後の成長率の低い経済環境は、取り敢えず会社のルーチンワークをこなしていれば、会社は発展し、給料も上がっていくという時代ではなくなっています。各企業が、置かれた経済環境、市場環境の中で、生き残るための対応をしていかなければ、将来はないのです。

そのために、経済産業省も中小企業庁もさまざまな働き方改革や生産性の向上、販売経路の開拓などに向けて助成金を設けています。それらを生かして、社員教育によるキャリアアップで、生き残ることのできる人材を育成していくことが必要とされているのです。

その意味で、グループワーク方式の研修は、非常に時代にマッチした研修と言えます。

グループワーク方式研修のタイプ

グループワーク方式研修には主に二つの研修タイプがあります。作業型グループワーク方式研修と、プレゼン型グループワーク方式研修です。

(1)作業型グループワーク方式研修

作業型グループワーク方式研修は、少人数のグループを組んで、与えられた研修テーマに対して共同で参加者が自らの知恵を出し合って1つの解決策を作り上げることを目的としています。
そのため、計画性や参加者のチームワークを重視する研修と言えます。

(2)プレゼン型グループワーク方式研修

プレゼン型グループワーク方式研修では、グループで作り上げた成果を発表して、参加者全員の競争意欲を高めることを重点にしています。グループ内でのディスカッションなどを通じて、いかに効果的な解決策を生み出すかを評価し、出てきた結果を重視すると言えます。

グループワーク方式研修のメリットとは

グループワーク方式研修のメリットは、知識を与えるのではなく、自分で解決策を生み出すためにどうすればいいのかを知ることにあります。知識はすでに過去のものであり、今後に役立たない場合もあり得ます。しかし、グループワーク方式研修では、会社に生じている新しい問題に対して、どのようにして問題を解決していくかを学ぶことができるのです。

この自らが問題解決に向けてどう行動を起こすかを学ぶことができるのが、グループワーク方式研修の一番のメリットなのです。

自ら考えて結論を出す作業によって問題解決力が高まるメリット

グループワーク方式研修の中では、講師が答えの出し方を教えてくれるわけではなく、自分たちでどのようにして解決策を生み出すために作業をすればよいかを考えなければなりません。そのため、自分がどう行動すればいいのか考える必要が出てくることから、問題解決力が磨かれ、高めることが可能になるのです。

グループワーク方式研修のデメリットとは

グループワーク方式研修は、人材確保に非常に有益ですが、一方で注意しておくべきデメリットも3つ存在しています。

(1)参加者のレベルが一定でない場合の効果が薄い

グループワーク方式研修に参加した人のレベルが一定ではない場合、所属したグループによっては、低いレベルのミーティングしかできません。そのため、参加者によっては得るものが少ない場合があり得ます。

(2)時間がかかるためコストが高くなる

グループワーク方式研修の場合、知識研修と違ってグループでの作業時間がかかります。そのため、実施コストも高くなる傾向にあります。

(3)突出しているメンバーがいる場合には依存して効果が出にくい

所属したグループに突出した能力を持った人間がいた場合、その人にグループ全体が依存してしまう面があることです。そのために、各人が自分で考えることを止めてしまい、実質的なグループワーク方式研修の効果が出ない場合もあり得るのです。

グループワーク方式研修の注意点

グループワーク方式研修の注意点として、デメリットを出さずにキャリアアップにつなげる必要があります。うまくメンバーを選抜して、グループ間に能力的な差がつかず、均等なメンバー間で成果の高い討議ができるように考えておく必要があります。

また、コストについては、行政の助成金を上手に利用することで、会社の負担を減らすことが可能です。

まとめ

今後の、労働人口の減少と経済成長率の低下の中で、中小企業が生き残っていくためには、自ら課題に対して解決ができる人材を育成していくことが必要です。その意味で、グループワーク方式研修をうまく取り入れて、人材の育成をしていくのはいかがでしょうか。