オフィスの移転は、事業の生産性や効率性などを高めるチャンスです。
しかし実際のところ、経営陣からいきなり移転の話を持ちかけられて担当者になったものの右も左もわからない・・・社内の既存業務に追われて移転業務に本腰を入れられない・・・といった話が多いようです。
移転後に業務が滞ることがないよう、最低限チェックしておきたいポイントをまとめました。
移転にかける予算
オフィス移転の目的は、大きく2つの要因が考えられます。
1つは事業拡大、もう1つは事業縮小です。
後者の場合、最低限の予算でオフィス移転を済ませることが重要となりますが、拡大となると、今後の事業計画(社員数の拡大計画、資金調達、上場のタイミングなど)を加味し、移転に伴う費用を決定しなければなりません。
また、移転にかける予算は、立地や広さ、ビルのランク(グレード)を決める指標になるので、事前に確認しておくようにしましょう。
オフィス移転費用は大きく以下の3つが挙げられます。
- 移転先オフィスの契約金(敷金や礼金、その他)
敷金は、賃料の12か月分など、多額の費用がかかるケースがあります。
- 移転先オフィスの内装工事費
後述するインフラ関係チェックリストと合わせて費用バランスを確認しましょう。
- 現オフィスの原状回復費用
忘れがちですが、事務所の解約の際、原状回復工事が必要になりますので、費用に計上しておきましょう。
解約予告期間と契約更新時期の確認
現オフィスの解約予告に関して、いつまでに必要なのか、また更新のタイミングはいつなのか、契約書を再確認しましょう。
タイミングによって、現オフィスと移転先オフィス、2つの家賃を二重負担しなければならなくなり無駄な出費が増えてしまいます。
また、このタイミングによって移転スケジュールも合わせると良いでしょう。
現オフィスの課題をクリアできているか
オフィス環境(働く環境)は、一般的に思われている以上に、社員のモチベーションなどに影響し、事業の生産性や効率性などを高める要因の1つとなっています。
空調などの環境整備から、休憩室の設置、部署間のコミュニケーション不足を解消するためのレイアウト・・・など現場の課題や社内のニーズを抽出し、移転先オフィスではそれらが解消されるのか、検討しましょう。
移転先インフラ関係チェックリスト
(1)電気設備
電気設備がレイアウトにあっているか、コンセントが適切な場所(使用する場所)にあるかなどを事前に確認し、工事の必要があるかを確認しましょう。
オフィスの中に個室を作る場合には、レイアウトに合わせて照明やスイッチ、コンセントを増設する工事が必要になってきます。
また、電力に関して、電力会社と直接契約する場合と、オフィスの管理会社がまとめて契約する場合があります。
大規模オフィスでは共用フロアの電気料金がまとめて請求されるケースもあります。
あらかじめ管理会社に確認をしましょう。
(2)ガス・水道
ガス・水道についても電気設備と同様に、供給会社と直接契約する場合と、オフィスの管理会社がまとめて契約する場合があります。
必要であれば使用開始の手続きを行います。
また、ガスについては、専門スタッフによる安全点検と開栓の作業が必要です。
(3)空調システム
空調システムは、移転先のオフィス備え付けの設備をそのまま使用するケースがほとんどです。
空調システムが機能しているか、エアコンなどは正常に作動しているかなど予めチェックし、懸念点があれば予め管理会社に確認をしましょう。
(4)ネットワーク環境
移転先オフィスでインターネット回線を利用するには、回線事業者やISP(インターネットサービスプロバイダ)との契約が必要です。
現オフィスのサービスをそのまま使う場合にも移転の手続きが必要となるものがほとんどなので回線業者に事前に確認をする必要があります。
社内ネットワークも同様です。
工事が必要な場合にはすぐに回線が使えないケースもあります。
余裕を持って準備を進めるように心がけましょう。
(5)電話回線
電話回線も移転手続きが必要になります。
NTTに連絡をして手続きを済ませましょう。
同じ電話番号を継続して使える場合もありますが、電話番号を変更しなければならないケースも多々あります。
その場合、住所だけでなく電話番号も変更することになりますので注意が必要です。
また、新しい電話番号をアナウンスすることも可能です。
電話回線を利用できる準備が完了したら電話機の作業チェックを行います。
発着信テストを行う際に電話機が必要となりますので準備しておきましょう。
まとめ
オフィスの移転は、社員がより活躍できる環境を整え、事業の生産性や効率性などを高める絶好のチャンスです。
また、同時に企業イメージを高め、戦略的に会社の拠点を作ることができる貴重なタイミングでもあるケースが多いです。
移転前後に慌てることがないよう、抜け漏れなくスムーズに準備を進行し、また業務をスムーズに移転先オフィスに移行できるよう最低限のチェックを行うように心がけたいものです。