今回は、オフィス環境を考えるうえで重要な「オフィスの面積」について考えていきます。
理想的な1人あたりのオフィス面積
理想的なオフィスの面積は、中小企業なら1人あたり1.5~2.5坪(約5㎡~8㎡)程度です。
狭くとも2.2m四方ということで、ずいぶん広いように感じるかもしれませんが、これは共用スペースも含めた値ですから、机周りの広さで考えるともう少し狭くなります。
従業員数が少ないほど、広めの見積もりが必要
一般的には、従業員数が少ないほど、計算上では1人あたりのオフィス面積を多めに見積もる必要があります。
なぜなら、共用スペースに必要な面積は、人数が増えてもそこまで大きく変わらないからです。
たとえば、従業員が100人のオフィスだからといって、10人のオフィスと比べて休憩室や通路、エントランスの広さが10倍になることはあまり無いでしょう。
また、コピー機など複数人で共用する事務機器も、人数の増加と同じだけ増えることはまれです。
従業員数が少ない会社でオフィスの移転計画を立てる際には、広めに考えておく必要があります。
オフィスの面積は労働生産性に直結する
狭苦しくごみごみとしたオフィス環境では、従業員は本来の力を発揮することができません。
狭すぎるオフィスは従業員にストレスを与えるだけではなく、物や人がぶつかって損害が発生したり、効率的に作業ができないなど、仕事への悪影響を伴います。
また、過密状態では従業員がストレス性の疾患を発症したり、伝染性の感染症が蔓延するなどの健康リスクも高くなるため、長期的に見れば事業に大きなダメージを与える可能性があります。
しかし、オフィスは広ければ広いほど良いというわけでもありません。賃料や冷暖房効率の面から見た場合、広すぎるオフィスはそれはそれで会社の活力を削いでしまいます。
労働基準法上のオフィス面積に関する規定
従業員の労働環境について定めた労働基準法では、以下の通りに定められています。
事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。
参考:労働安全衛生規則 第3編 第3章 気積及び換気|安全衛生情報センター
一般的なオフィスの天井の高さは2.5m程度ですが、この場合なら
10÷2.5=4.0㎡
が最低限確保しなくてはならない1人あたりの面積ということになります。
移転が難しい場合のオフィス面積対策
企業の状況によっては、より広いオフィスへの移転が難しいことも少なくありません。
そのような時は、以下のように狭いオフィスを広く使う対策をとりましょう。
(1)オフィスで勤務する人の数を減らす
オフィス内で勤務する人の数が少なくなれば、同じ面積のオフィスでも広々と空間を使うことができます。
最近では、サテライトオフィスやコワーキングスペース、在宅勤務など、オフィスの外で仕事ができる環境が整ってきています。また、従業員にとっても、狭いオフィスに詰め込まれるよりは、自分の好きな環境で仕事ができることは大きなメリットになります。
ただし、リモートワークをする人数が増えると、社内のコミュニケーションが希薄になりすぎる可能性があります。
実施する際は、定期的に顔を合わせるミーティングの機会を設けたり、ビジネスチャットを活用してコミュニケーションの機会を確保するとよいでしょう。
(2)オフィスに置く物を見直す
オフィス面積を変えずに広く見せるために、オフィス家具や事務機器を見直しましょう。
使用頻度があまりないのに空間を占拠しているモノはないでしょうか?
そういった物は、処分するか倉庫に収納して、社員の動線の邪魔にならないようにしましょう。
また、背の高い家具や多すぎるパーテーションは、圧迫感を感じさせます。
オフィス家具を購入する場合は、できるだけ目の高さより低いものを選ぶと、よりすっきりとしたオフィスに見せることができます。
(3)ペーパーレス化の推進
紙媒体を減らしペーパーレス化することで、書類を保管するラックなどが不要となるため、その分、オフィスを広く使うことが可能となります。
まとめ
今後、少子高齢化により、人材の確保はますます難しくなります。それに対応していくには、オフィスの生産効率を上げるための事務機器の確保や、1人あたりの最適なオフィス面積を確保することが不可欠です。
オフィス環境を向上させてこそ、人材確保もできますし、会社の将来的な発展も可能になります。
企業のパフォーマンスを最適化するオフィス空間にするために、まずは1人あたりのオフィス面積を考えてみるのはいかがでしょうか。