2019.07.01 NEW

苦情を集客・業績アップにつなげるコツ

怒られる人
苦情への対応は、しばしば神経を使うものです。
なかには怒っている顧客もいますから、対応は確かに大変です。

一方で、苦情は将来の売上アップにつながる材料として活用することもできます。
本記事では、苦情を集客・業績アップにつなげるコツについて解説します。

苦情は、業績改善の宝庫

冒頭で述べた通り、苦情への対応は大変です。
しかし、貴社の製品やサービスにニーズがあるからこそ、苦情が出るともいえます。
貴社の製品やサービスの課題を指摘してくれるのですから、苦情は業績改善の宝庫ともいえます。

従って苦情を有効に活用することができれば、企業は必ず成長できます。

(1)わざわざ苦情を伝えてくれる人には感謝が必要

もし、貴社の製品やサービスに不満がある場合、多くの顧客は他社へ乗り換えてしまいます。
その場合、貴社は何も情報を得られぬまま顧客を失ってしまいます。
さらにSNSなどで貴社の不満を書きこまれた場合、集客が落ちるかもしれません。

一方で顧客から苦情を受け取ったということは、改善のチャンスを与えられたことを意味します。
わざわざ苦情を伝えてくれるわけですから、顧客への感謝が必要です。

グッドマンの法則とは?

苦情の解決が業績の改善につながることは、佐藤知恭氏により提唱された「グッドマンの法則」で示されています。
その法則は、以下の通りです。

【グッドマンの第一法則】
「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」

【グッドマンの第二法則】
「苦情処理(対応)に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」

【グッドマンの第三法則】
「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」

引用元:顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭

上記の法則は、適切な苦情への対応や情報提供が、企業経営にとって極めて重要であることを示しています。
問題が解決した顧客は、有力なリピーターになる可能性を秘めているため、 そのリピーターが新たな顧客を連れてきて、集客のアップに貢献する可能性もあります。

一方で苦情の対応に不満を持った顧客による損失は、その顧客を失うことにとどまりません。
その顧客は悪い体験をほかの人とシェアする可能性もあります。
結果、貴社の評判が落ち、集客が難しくなるおそれもあります。

真摯な対応により、企業への信頼を取り戻す

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苦情を受けても、きちんとした対応を行うことで企業への信頼を取り戻すことができます。
それだけでなく「なにかあっても誠実に対応する企業」という評価を得て、 継続的に貴社の商品を購入していただいたり、サービスを利用して頂くことにもつながります。

したがって苦情への対応は、顧客をつなぎ止める重要なポイントとなりますので、細心の注意が必要です。

(1)重要なことは、スピードよりも確実な対応

顧客の苦情に対してスピーディーに対応することは重要です。
しかし苦情の対応において最も重要なことは、顧客が抱えている課題の解決です。
そのためには解決方法と解決時期を顧客に提示し、きちんと実行することが重要です。

顧客の希望に少しでも多くこたえたいという目的で、無理な解決時期を提示してはいけません。
もしその約束が守られなければ、顧客からの信頼をさらに失うこととなります。

もっともなかには、「今すぐ対応しろ」という要求を受ける場合もあるでしょう。
その場合でも、確実な対応を求められていることに変わりはありません。

(2)苦情にきちんと対応してもらえた顧客は、リピート率がアップする

苦情にしっかり対応した場合、顧客のリピート率は平均よりもアップする効果が期待できます。

2015年にNPO法人顧客ロイヤルティ協会が公表したデータによると、苦情を申し立てて解決した顧客の再購入率は、以下の通り高くなっています。

低額商品の場合
(200~300円程度)
高額商品の場合
(1万円以上)
苦情が迅速に解決
95%
82%
苦情の解決に満足
70%
54%
不満だが納得
46%
19%
苦情を申し立てず
37%
9%
引用元:顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭

したがって苦情に対してしっかり対応することは、貴社の売上を守ることに直結します。

苦情の内容をきちんと分析して、売れる商品やサービスを作り出す

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顧客から受け取った苦情を、単に解決するだけでは不十分です。
苦情があるということは、その製品やサービスに改善が必要という認識も必要です。

言い換えると、貴社の製品やサービスには「伸びしろ」があることを示します。
従って苦情の内容をしっかり分析して対応することにより、売れる商品やサービスを作り出すことが可能です。

(1)まずは原因を正しく把握する

苦情を業績アップに活用する第一歩は、原因を正しく把握することです。
苦情が寄せられた部門での対応はもちろん、製品やサービスの企画から開発、営業部門の対応といった、あらゆる点をチェックする必要があります。

これらの対応を現場同士の調整に任せることは、部門同士の押しつけあいとなるおそれがあります。
したがって顧客満足を司る責任者を置き、専門の部署を設置して対応する必要があります。

(2)重要度とコストを踏まえて、優先順位を決める

企業のリソースは有限です。これは、苦情への対応においても例外ではありません。
したがって重要度と解決へのコストを踏まえて、優先順位を決める必要があります。

たとえば最も多く苦情が来ている内容でも、製造工程を変える必要があるなら、すぐの対応は難しいでしょう。
一方で「請求ミス」のようにコストをかけなくても改善できる項目は、優先して対応すべきといえます。

(3)将来の製品開発や、新サービスの提供に活かす

企業が進化するためには、よりよい製品やサービスを作り出すことが欠かせません。
顧客からの苦情は、「この製品やサービスは必須」という、強い要望の現れです。
また苦情をしっかり分析することで、市場のニーズも見えてきます。

苦情を分析した上で製品の開発や新サービスを提供することにより、業績に十分貢献することが可能です。

まとめ

苦情にどう対応するかは、企業の業績を占う上で重要なポイントとなります。
苦情への対応は大変ですが、一方で苦情は貴社の改善すべき点を指摘してもらえたという点で貴重です。
しかし、集客や業績アップにつなげるためには、苦情へのきちんとした対応だけでは不十分です。
苦情から学び、製品開発やサービス改善に生かす必要があります。

せっかく受けた苦情ですから過度に悲観せず、企業の発展のために活用していきましょう。