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2019.04.16

合同会社を株式会社と比較した際のメリットとデメリット


合同会社とは

2006年に会社法が改正された際にできた新しい会社形態です。英語ではLimited Liability Companyと表記、略してLLCと呼ばれています。

1997年、アメリカにて生まれ認識されるようになりました。日本では以前「有限会社(有)」と言った組織がありましたが会社法に統合され、代わりに生まれたのがLLC(合同会社)です。

株式会社より比較的小規模な会社に適する組織と一般的には言われていますが、認知度の高いアップルジャパン、アマゾンなどの名だたる大企業もこの合同会社という形態を採用しています。

また、日本の総務省における発表によりますと、2012年には1万899件だった設立件数が、4年後の2016年には倍以上の伸びを示し、この年に新たに設立された企業のうち、およそ20%が合同会社の形態を採用しています。

合同会社の設立件数は継続的に増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されます。
合同会社(LLC)が急増している理由は何なのか、株式会社とは何が違うのか、などを探っていきます。

合同会社の特徴


(1)法人格を持つ

株式会社と同様、「法律に基づいた法人格の人格」を持つことが可能です。
具体的には、法人名義の銀行口座が持てる、事務所を賃貸できる、などです。
法人格を持つと、ビジネス上の信頼度を上げることができ、補助金や助成金、税制上のメリットなどの享受が可能となります。

(2)定款認証は不要

株式会社の場合、必ず公証役場で「定款認証」を行う必要があります。合同会社にはこの「認証」の必要はなく、作成するだけでOKです。

(3)社員全員が有限責任である

合同会社の場合にも、株式会社と同様に、社員は全員有限責任となります。
有限責任とは、出資した額を限度として責任を負う制度です。
会社が倒産するなどの最悪のケースを想定した場合に、リスクを軽減できるメリットがあります。無限責任の場合、会社が倒産した際には個人の財産を持ち出してでも責任を負うことになります。

(4)組合的規律が適用される

合名会社、合資会社同様、組合的規律が適用されます。定款変更などの重要事項に関しては、社員全員の同意が必要です。

(5)決算公告義務がない

合同会社は決算公告義務がなく、官報掲載費用も不要です。

(6)役員(社員)任期の制限なし

株式会社は役員任期が最大10年(株式会社の組織によって異なる)と定められており、任期毎に再任等(登記免許税等)の登記手続きが必要になります。

(7)配当は自由

合同会社では利益配分を出資比率に関係なく、社員間で自由に決めることが可能です。

(8)社債・私募債の発行が可能

会社法の改正で合同会社でも社債や私募債の発行が可能になりました。

(9)株式会社に変更可能

将来的に、合同会社から株式会社に組織変更(移行)することが可能です。

合同会社と株式会社を比較した際のメリットとは?(合同会社>株式会社)

(1)設立費用

株式会社設立の場合、登録免許税が15万円かかりますが、合同会社の場合は一律6万円。また、前述したように合同会社は定款認証という作業が必要ありません。
そのため、株式会社の場合は通常、定款認証費用として5万円必要となりますが、合同会社の場合は不要です。
全体の費用を比較すると、株式会社は約20万円、合同会社は6万円と設立費用を抑えることが可能です。また、準備しなければならない書類が少なくて済むのも合同会社のメリットです。

(2)ランニングコスト

決算公告義務にかかる官報掲載費や、役員任期を設ける必要がないので役員の重任登記費もかかりません。

(3)節税メリット

節税の面では、合同会社と株式会社に大きな差はありません。
どちらも、個人事業主よりは経費として認められる範囲が広いため同じ程度の節税効果を得ることができます。

合同会社と株式会社を比較した際のデメリットとは?(合同会社<株式会社)

(1)信用度

合同会社はトレンドですが、まだまだ新しい会社組織の形態であるため、認知度は低く信用度も低く見られることもあります。
また、企業によっては合同会社とは取引できない、採用において人材が集まりにくい、資金調達がしにくい、といったデメリットも存在します。株式会社の社会的認知度の高さは最も大きなメリットの1つと言えます。

(2)上場できない

株式会社はさらなる事業拡大を目指して上場することが可能ですが、合同会社の場合、上場はできません。いずれ上場を目指したいという目標を見据えていれば初めから株式会社にしておく方が良いでしょう。

(3)出資者の対立で意思決定・事業運営が困難になる可能性

合同会社では利益配分を出資比率に関係なく、社員間で自由に決めることが可能と前述しましたが、その裏返しになりますが一度社員同士が対立してしまうとなかなか立て直せないというケースもあるようです。
前述したように、手続きは必要となりますが合同会社から株式会社に組織変更(移行)することが可能です。
短期的に、設立にコストをかけられない小規模なうちは合同会社で、軌道に乗ってきたら株式会社に組織変更ということも一手かもしれません。

まとめ

設立費用は安く済ませたい、比較的小規模のビジネスを行う場合、取り急ぎ法人格が欲しい、と言う場合には合同会社はオススメです。
多額な資金の必要性、社会的信用の高いビジネスを行う場合、上場を視野に入れている、などに重点を置くケースだと、合同会社ではなく、株式会社の方が向いています。
これから起業を検討している方は株式会社だけでなく合同会社といった組織形態も検討してみてはいかがでしょうか。