• HOME
  • 起業
  • 定款変更の手順と必要書類のまとめ
2019.04.16

定款変更の手順と必要書類のまとめ

そもそも定款って何?

定款とは、会社の根本規則のことです。株式会社設立の際、必ず定款を作成して公証人役場にて公証人の認証を受ける必要があります。

定款に記載されている内容に関して

(1)絶対的記載事項

定款に絶対に記載しなければならない事項です。具体的には以下の6つになります。
  • 会社の目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称および住所
  • 発行可能株式総数

(2)相対的記載事項

記載しなくても定款自体は有効であるが、定款に記載しなければ有効とならない事項です。例えば現物出資、財産引き受け、発起人の報酬、その他特別な利益、設立費用、株式譲渡制限に関する定め、株券発行の定め、取締役会の設置、役員の任期の伸長などです。

(3)任意的記載事項

法律に反しない限り記載のできる事項で、定款に記載しなくても定款の効力に影響はなく、必ずしも定款で定める必要がない事項です。例えば、事業年度(決算期)、定時株主総会の招集時期、取締役等の役員の員数などです。

定款変更とは

定款に記載されている事項を変更する場合、会社の本店所在地を管轄する法務局にその旨の届出、登記手続きを行う必要があります。
ただし、ここでいう定款変更とは、元の定款を書き換えることではありません。会社設立時、最初に作成した定款のことを「原始定款」と言いますが、この原始定款の内容は変更せず、議事録に残すことを「定款変更」と言います。なお、会社設立時に必要な公証役場での認証は不要です。

定款変更の手順


(1)株主総会開催の決定

定款変更を行うにあたり、株主総会(定時株主総会・臨時株主総会どちらでも可)における特別決議が必要となります。取締役会を設置していない会社では取締役の過半数一致で株主招集を決定し、取締役会を設置している会社では、取締役会の決議に基づいて代表取締役が招集を行います。

(2)株主の招集

各株主へ、株主総会の開催決定の招集通知を発します。非公開会社では原則、株主総会開催日の1週間前までに発することが必要です。ただし、書面投票や電子投票によって議決を認める場合には、株主総会の2週間前までに発します。

(3)株主総会の開催

定款変更の議決は特別決議によって行われます。株主は株式1株につき1個の議決権を有し、議決権の過半数を有する株主が出席する必要があります。出席できない株主は代理人を立て、議決権を行使することも可能です。

(4)定款変更の決議(特別決議)

議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権のうち3分の2以上の賛成によって決議されます。株主総会の決議は原則、決議成立と同時に効力発生となります。何らかの理由で将来の一定の日時に効力が生じる旨の条件を付けたり、期限付き決議を行うことも可能です。

(5)株主総会議事録の作成

株主総会後、議事録を作成します。原則として署名や押印義務はありませんが、議事録作成者及び出席取締役が押印することで信頼性を担保するのが一般的です。(定款に署名や押印が必要な旨が定められている場合には記名押印が必要)

(6)定款変更登記

登記が必要な定款変更の場合、本店所在地を管轄する法務局に変更登記の申請を行います。原則、登記事項に変更が生じてから2週間以内に登記が必要です。2週間を超えると過料の対象となる場合もありますので注意が必要です。登記期間(2週間)を過ぎても登記申請は可能です。

(7)議事録を据え置き

議事録は本店(本社)に10年間保存する義務があります。

種類株式を発行している株式会社が定款変更を行う場合

種類株式を発行している会社が定款変更を行う場合、種類株主で構成する種類株主総会を開催する必要があります。定款変更決議が必要なのは、種類株主に損害を及ぼす恐れがある行為として、原則として以下が定められています。
  • 株式の種類の追加
  • 株式の内容の変更
  • 発行可能株式総数または発行可能種類株式総数の増加
種類株主総会は、株主総会規定が準用されるため、通常の株主総会と同日に開催されることが多くありますが、通常の株主総会とは別個の総会なので、時間をずらしたり、審議や決議を分離して行うなどの工夫が必要となります。

定款変更は登記が必要なものと不要なものがある

(1)登記が必要なもの

定款変更の登記申請が必要なものとして下記の項目があります。下記の項目を変更するには、法務局にて定款変更登記申請を行う必要があります。
  • 商号変更
  • 事業目的(内容)変更
  • 会社の本店所在地の変更(移転)
  • 取締役会、監査役等の機関構成の変更
  • 発行株式総数変更
  • 株式譲渡制限の規定変更
など、登記の必要な定款変更は、登記申請時に登録免許税(原則3万円)がかかります。
登記手続きを司法書士などに依頼する場合には、別途登記申請手続き代行の報酬を支払う必要があります。

(2)登記が不要なもの

登記が不要な定款変更は、株主総会にて定款変更の決議を経て、その議事内容と決議結果を議事録に残すことで終了します。この議事録を会社に据え置くだけで事足ります。特に費用は必要ありません。

まとめ

法人経営を行う上で定款変更は欠かせない作業です。事業、組織、資本などを変える時には定款の記載事項や登記の内容に影響するかを確認して手続き漏れなどが起こらないように注意しましょう。